平日9:00-18:00

海外拠点の立ち上げや外国籍スタッフの受け入れで、マニュアルの英語版が必要になっていないでしょうか。
いざ着手すると、既存のマニュアルをそのまま訳してよいのか、翻訳ツールに任せてよいのか、外注すべきなのか迷います。
今回は、英語版マニュアルの書き方を、日本語版の準備からレイアウト調整までの手順にそって解説します。英文の例もあわせて紹介します。
なお、外国籍スタッフの受け入れが増えている背景については、次の記事でくわしく紹介しています。
関連記事:
外国人労働者の動向は?働きやすい環境づくりとともに解説
育成就労制度とは?外国人採用の流れと定着させる教育のコツを解説
目次
英語版マニュアルの出来は日本語版で決まる
英語版マニュアルの書き方|日本語版と異なる6つのポイント
英語版マニュアル作成の流れ|着手から社内承認まで
翻訳の進め方|3つの選択肢と選び方
英語版マニュアルから日本語版を作るには
よくある質問(FAQ)
まとめ
英語版マニュアルの品質は、翻訳者の腕前だけで決まるものではありません。もとになる日本語版がどれだけ整理されているかが、そのまま結果に表れます。
日本語のあいまいさは、翻訳の工程では解消されません。むしろ、訳した人の解釈が入る分だけ、意味がずれていきます。まずは日本語版を見直すところから始めましょう。
マニュアルの読み手を日本語版の時点で明確にしましょう。
読み手が技術者であれば、専門用語をそのまま使ったほうが正確に伝わります。一方、専門知識のない読み手であれば、専門用語は避けて、かみ砕いた説明にしましょう。
読み手が決まっていないと、どの語彙を使うか判断できません。「北米の現地スタッフ向け」「海外代理店の技術担当向け」というところまで具体化しておきましょう。
関連記事:
「ユーザー目線」で変わる!わかりやすいマニュアル作成のコツ
日本語版が整ったら、次に押さえておきたいのが英文の書き方です。英語のマニュアルには、日本語のマニュアルとは違う書き方の作法があります。
ここでは、特に差が出やすい6つのポイントを、実際の英文とあわせて紹介します。
英語のマニュアルでは、操作の手順を命令形で記載します。動詞から始めるのが基本です。
| 区分 | 文例 |
|---|---|
| 日本語 | システムにログインしてください。 |
| よくある訳 | Please log in to the system. |
| 英文マニュアルの書き方 | Log in to the system. |
日本語の「〜してください」をていねいに訳そうとすると、「Please」を付けたくなります。しかし手順文にPleaseが並ぶと、動作の指示が読み取りにくくなります。英語のマニュアルでは、Pleaseを付けないほうが自然です。
日本語では省略できる主語も、英語では明示します。
「誰が」が抜けたまま訳すと、読み手は動作の担当者を判断できません。日本語版の時点で主語を記載し、必要に応じて目的語も追加しましょう。
| 区分 | 文例 |
|---|---|
| 日本語 | 確認後、承認します。 |
| よくある訳 | Approve after checking. |
| 英文マニュアル向けの日本語 | オペレーターが申請を確認後、管理者が承認します。 |
| 英文マニュアルの書き方 | The manager approves the request after the operator checks it. |
ただし、手順文の場合は、読み手が動作主なので主語は省略できます。
日本語の言い回しをそのまま英語に置き換えると、不必要に長い文になります。
| 区分 | 文例 |
|---|---|
| 日本語 | レポートを印刷することができます。 |
| よくある訳 | It is possible to print the report. |
| 英文マニュアルの書き方 | You can print the report. |
「〜することができます」は、英語では主語と「can」で短く表せます。日本語版の段階で「〜できます」と記載しておくと、訳文も自然に短くなります。
英語のマニュアルでは、注意書きの重さを決まった単語で示します。この単語をシグナルワードと呼びます。
| 単語 | 使う場面 |
|---|---|
| DANGER | 回避しないと死亡または重傷に至る、差し迫った危険があるとき |
| WARNING | 回避しないと死亡または重傷に至るおそれがあるとき |
| CAUTION | 回避しないと軽度または中程度の傷害に至るおそれがあるとき |
| NOTICE | 人身への危害ではなく、機器やデータの損傷が起こりうるとき |
上記は危険度の高い順に並べています。日本語のマニュアルでは「注意」「重要」「ポイント」といった言葉が混在しがちですが、英語版では、人身への危害がおよぶ危険度の高い順に、DANGER・WARNING・CAUTIONの単語を使い分けます。NOTICE は人身への危害ではなく、機器やデータの損傷を示します。人身への危害かどうかと危険の度合いで単語を使い分けます。
なお、補足情報を伝えたいだけの場合は、規格のシグナルワードではなく「NOTE」などの表記が使われます。シグナルワードの定義はANSI Z535やIEC/IEEE 82079-1などの規格で定められているため、製品に添付する取扱説明書では、対象となる国の規制と自社の基準を確認しておきましょう。
日本語では「マニュアル」とまとめて呼ぶ文書も、英語では複数の用語が使われます。ただし、各語の定義や明確な使い分けがあるわけではありません。特に manual と guide はほぼ同義で使われ、「User Manual」と「User Guide」は入れ替えて使われることも多くあります。
| 英語 | よく使われる場面 | 補足 |
|---|---|---|
| manual / guide | 製品やシステムの使い方を一通りまとめた文書(User Manual/User Guide) | guideのほうが簡潔、manualのほうが網羅的という傾向はあるが、ほぼ同義。明確な区別はない。 |
| instructions | 製品に添付する取扱説明書(Instructions for Use) | 国際規格 IEC/IEEE 82079-1 が採用している用語。製品同梱の説明書に使われることが多い。 |
| procedure / SOP | 社内業務の作業手順書(Standard Operating Procedure) | 業務の標準手順を定めた文書。社内向け業務マニュアルの英語名として定着している。 |
| quick start guide | 使い始めるまでの最短手順だけをまとめた冊子 | 本編のマニュアルと併せて作られることが多い。 |
複数の英語版を作る場合は、どの文書にどの語を使うかを先に決めておきましょう。
関連記事:
操作マニュアルとは?目的・作り方のコツと作成後の流れを紹介
日本語から英語にすると、テキストの分量は増えます。日本語版で1ページに収まっていた内容が、英語版では収まらなくなります。
そのため、日本語版のレイアウトをそのまま流用すると、文字がはみ出したり、図と説明文が離れたりします。英語版は分量が増える前提で、余白に余裕を持たせた設計にしておきましょう。
もう1つ意識したいのが、情報の並べ方です。日本語のマニュアルは、内容を表に収める形が好まれます。一方、英語圏のマニュアルでは、表組を使わずインデント(字下げ)で階層を示す形もよく見られます。
どちらが正解というものではありません。読み手がどちらの形式に慣れているかで選びましょう。配布形態が印刷物かPDFかによっても、適した形は変わります。
ここまでの内容を、実際の進め方の順に整理します。英語版マニュアルは、次の6つのステップで作成します。
翻訳の進め方には、大きく3つの選択肢があります。予算・期間・文書の性質によって、適した手段は変わります。
| 手段 | 向いている場面 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 翻訳ツール(Google翻訳、DeepLなど) | 分量が多く、まず全体を訳したいとき | 機密情報の扱いと、訳文の確認が必要 |
| 生成AI | 表現のトーンをそろえたいとき | 指示の出し方によって品質が変わる |
| 外注 | 社外に出す文書や、品質を担保したいとき | 費用と期間がかかる |
3つは互いに排他的なものではありません。下訳(下書きの翻訳)を翻訳ツールで作り、仕上げを外注する、という組み合わせもよく使われます。
Google翻訳やDeepLに代表される翻訳ツールは、短時間で下訳を作れるのが魅力です。一方で、機密情報を扱う場合は、入力したデータの扱いを確認しましょう。
無料版では、入力したテキストが翻訳精度の改善に使われる場合があります。製品仕様や業務フローを含むマニュアルには向きません。
関連記事:
DeepL翻訳は機密情報に使える?安全な多言語マニュアルの作り方
生成AIに下訳を依頼すると、文体のトーンをそろえた訳文が得られます。用語集を渡したうえで依頼すると、訳語のぶれも抑えられます。
ただし、指示の内容によって結果は大きく変わります。「どの読み手向けか」「どの語をどう訳すか」を具体的に伝えることが大切です。
外注先は、対象となるマニュアルの内容に合わせて2段階で絞り込みます。まずは、マニュアルの翻訳を得意とする会社を候補にしましょう。翻訳といっても、小説とマニュアルでは求められる書き方が異なります。
そのうえで、得意分野が合う会社を選びます。IT・工業・医療・金融・法務・特許など、翻訳会社ごとに強みの領域は違います。
翻訳費用は原文の文字数(ワード数)をベースに算出するのが一般的で、日英翻訳の費用は日本語の文字数に単価を掛けて算出します。会社によって見積もりの単価や前提条件も異なるため、事前に確認しておきましょう。
関連記事:
マニュアル作成代行とは?外注するメリット・デメリットを解説
マニュアル作成を外注する際の費用相場を徹底解説
どの手段を選んだ場合も、最後は人が読んで確認します。マニュアルでは、誤解されないこと・読みやすいこと・用語が統一されていることが特に重要です。
確認したいポイントは次のとおりです。
関連記事:
マニュアル校正の基本とは?見落としがちなポイントを徹底解説
ここまでは英語版マニュアルの作成方法を解説しました。では、英語版マニュアルから日本語版を作成する場合はどうなるのでしょうか?
方向が逆になると、注意すべき点も変わります。
代表的な例が、海外から輸入した製品を国内で販売する場合です。取扱説明書には、その製品にしかない技術的な内容が含まれます。翻訳ツールにかけただけでは、日本語として意味が通らない部分が残ります。
こうした場面で有効なのが、依頼側と外部委託先で役割を分担する進め方です。フィンテックスにも、輸入製品に同梱の英語版取扱説明書から日本語版の説明書を作りたい、というご相談がありました。このときは次の形で進めました。
委託先が読みやすさを前提にドラフトを作成し、依頼側が技術面から修正を指示します。得意な領域を分け合うことで、確認の往復が減り、品質も安定します。
なお、専門用語をどこまで使うかは、読み手によって決まります。技術者が読む取扱説明書であれば、専門用語をそのまま使ったほうが伝わります。この判断には依頼側の知見が欠かせません。
英語から日本語にすると、テキストの分量は少なくなる傾向があります。どの程度減るかは文書の性質によりますが、日本語から英語にする場合とは逆の動きです。
ただし、文字数が減ってもそのまま余白が生まれるとは限りません。日本語は全角文字で、行の高さも英語より必要になるためです。
意識したいのは、言語展開によるレイアウトの調整は最低限で済むような設計をすることです。テキスト量の増減を吸収できる余白を確保し、図と説明文の対応関係が崩れない構成にしておけば、対応する言語が増えても同じ体裁で展開できます。
関連記事:
取扱説明書の作り方とは?手順・ポイント・失敗例までわかりやすく解説
英語版マニュアルの書き方について、よく寄せられる質問をまとめました。
A.代表的なのは3つです。手順文を命令形にする、主語を省略しない、回りくどい言い方を避ける、という違いがあります。日本語をていねいに訳そうとするほど、英語では読みにくくなる点に注意しましょう。
A.テキストの分量が増えるため、ページ数も増える傾向にあります。増え方は文書の性質によって異なるため、レイアウトには余裕を持たせておきましょう。
A.おすすめしません。専門用語や社内独自の表現は、正確に訳されない場合があります。どちらも下訳(翻訳の下書き)の作成に使い、仕上げは人が担う進め方が安全です。
A.役割分担とレイアウト調整がポイントです。専門用語・技術的な内容は自社が監修し、読みやすい表現への調整には外注を活用すると品質が安定します。このように役割分担することで、作業も進めやすくなります。また、英語版から日本語版にすると分量が減る傾向があります。表組の活用など、日本人にとって読みやすいレイアウト調整も行いましょう。
英語版マニュアルの品質は、もとになる日本語版で大きく決まります。
意識したいのは3点です。読み手を決めて日本語版の用語と5W1Hを整理すること、英語のマニュアルの作法にそって記載すること、そして、分量が変わる前提でレイアウトに余裕を持たせることです。
翻訳の手段は文書の性質に応じて選び、どの手段でも最後は人が確認しましょう。
フィンテックスでは、英語をはじめとする多言語マニュアルの作成を支援しています。何から手をつければよいか迷っている方は、お気軽にご相談ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言を構成するものではありません。個別の法令解釈や規格への適合については、専門家にご相談ください。
フィンテックスは1987年の創業以来、500社以上の業務マニュアル・操作マニュアル作成を支援してきたマニュアル作成の専門会社です。
提供しているサービスは大きく4つです。
業務マニュアル作成:
オフィス業務、店舗運営、コールセンター業務など、企業の多様な業務を対象に、ヒアリングから設計・執筆・編集・運用までをワンストップで対応します。
操作マニュアル作成:
システム・アプリケーション・機器の操作マニュアルを、エンドユーザーのリテラシーに合わせて設計・作成します。
マニュアルコンサルティング:
マニュアル整備の方針設計、運用体制の構築、マニュアル整備の基本ルールやテンプレートの整備など、自社で運用していくための仕組みづくりを支援します。
かんたんマニュアル作成(ハナスマ):
AIとマニュアル専門ライターが連携し、50分のヒアリングをもとに業務マニュアルを作成するサービスです。「まずは形にしてみたい」「予算を抑えて着手したい」という方に向けて設計したサービスです。
「英語版のマニュアルが必要になったが進め方が分からない」「輸入製品の取扱説明書を日本語にしたい」といったお悩みのある方は、フィンテックスへお気軽にご相談ください。
関連記事:
マニュアル作成の枠を超えたご支援事例を紹介
ハナスマのサービス紹介
フィンテックスのAI活用に対する考え方
操作マニュアル
家庭用機器取扱説明書
少ない紙幅に必要な記載を盛り込み、必要十分な取扱説明書を完成させました。また多国語展開にも対応し、計13ヶ国語のマニュアル作成に対応しました。
業務マニュアル
事務所運営、タレント管理という特殊業務について、各業務の実作業者へのアンケート、および徹底したヒアリング取材を実施。週に一度の定例会や読み合わせ会など、丁寧な対応を経て、言語化しづらい業務のマニュアル化を実現しました。
監修者

企画営業部 営業本部長 / 経営学修士(MBA)
<略歴>
フィンテックスにて、マニュアル作成に関する様々な顧客課題解決に従事。
金融系からエンターテインメント系まで様々な経験から幅広い業務知識を得て、「分かりやすいマニュアル」のあるべき姿を提示。500社以上のマニュアル作成に携わる。また、複数の大企業でマニュアル作成プロジェクトの外部マネージャーを兼務している。
趣味は茶道。
著書:マニュアルが会社を救う: 属人化からの解放
著書:「はい」が7つの意味を持つ国
月刊エコノミスト・ビジネスクロニクルで取材していただきました。ぜひご覧ください。
https://business-chronicle.com/person/fintecs.php
プロが解説!マニュアル作成のコツ
無料資料ダウンロード
このページでは暗号化通信を導入しお客様の個人情報を保護しています。
プライバシーポリシーに関してはこちらをご覧ください。

2026.10.28

2026.10.28

2026.10.28
マニュアル作成に関するご相談やお悩みがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
24時間受付中!
翌営業日にご連絡いたします。
資料を無料配布中!
マニュアル作成のコツを伝授します。