マニュアルアカデミー
マニュアルは、日常生活のいろいろなところで使われています。
いわゆる手引書として認識されていることが多いでしょう。
ただし、あって当たり前のもので、その意味や作成目的を知らないという方も多いかもしれません。
企業によっては業務マニュアルや社内マニュアルが形骸化しており、各従業員の経験や能力だけで仕事が回っているところもあります。
そのため、マニュアルとは何か、そのメリットやデメリットにはどのようなものがあるか、必要なものなのかを再確認しましょう。
ここではマニュアルについて基本的なことを紹介します。
マニュアル作成についても簡単に説明しますので、これから作ろうと考えている方は参考にしてください。
目次
マニュアルとは
マニュアルに共通して記載すべき情報
マニュアルの種類
マニュアル作成のメリット
マニュアル作成のデメリット
マニュアル作成の手順
より良いマニュアル作成のコツ
完成したマニュアルを運用する際のポイント
マニュアルを上手く作成できないときに意識したいこと
マニュアルを便利に使って業績アップにつなげよう
マニュアルにはさまざまな種類があります。
ここではまず、マニュアルという言葉の意味や作成する目的、手順書との違いをみていきましょう。
マニュアルは機械や道具、アプリケーションなどの使用説明書という意味と、作業手順をまとめたものという意味があります。
参考:デジタル大辞泉
読んだ人、みた人が全員同じレベルでやるべきことができるように、一定の成果を出せるようにしたドキュメント(文書)です。
マニュアルを作成するのは、作業効率を上げるためです。
ルールや手順、判断基準を明確にしておけば、個々がその時々で対応や判断に困りません。
たとえばどの企業にも必ずある営業活動。
もしもマニュアルがなければ、見込み客の獲得・提案の仕方・商談準備・契約手順・アフターフォローなどの流れについて、営業職員が一致しないことになります。
それぞれが勝手に判断して独自のやり方で進めていたら、顧客対応に差が生じるうえスムーズに物事が進まなくなるでしょう。
何らかの製作過程においても同じこと。マニュアルがなければ作り手によって商品の品質が変わってしまい、大きなトラブルにつながりかねません。
マニュアルがあるからこそ、仕事がスムーズに進み、問題発生時にはきちんとした一定の対応が可能なのです。結果的に作業効率がアップするので、企業の業績にも良い影響を与えます。
マニュアルとよく間違えられるのが「手順書」です。
どちらも業務をスムーズに進めるための方法が記載されていますが、違いとしては対象の大きさです。
手順書は、標準作業手順書(SOP)や作業標準書とも呼ばれているもの。
作業の流れや細かい過程などに焦点を当てたものを指します。
たとえば、手順書をみればソフトウェアの設定が問題なく完了したり、マシンの使い方や故障時の対応がわかったります。
しかしマニュアルのように、業務全体のイメージやその工程、ノウハウ、クレームトラブル時には誰に質問するかなどについては書いてありません。
マニュアルという大きなものの中に、一部内容を抜粋してさらに詳細に記したものが手順書と言えます。
マニュアルに共通して記載すべき情報には、業務の概要 ・全体の流れ・業務や操作の手順といった項目が挙げられます。
マニュアルには、業務の概要を記載する必要があります。業務の対象者や意義、業務開始前に知っておくべき基礎情報などを記載しましょう。
概要を見て業務をイメージできるように、長くなりすぎない文章と簡潔な表現を使用します。
マニュアルでは、はじめに「全体の流れ」を示します。スムーズに通して読めるように全体を構成し、目次や手順をタイトルの次に示します。
情報量の多いマニュアルの場合は、目次で「どこにどのような手順が記載されているのか」を明確に示しましょう。
文字だらけになってしまうと読みづらく、文字の大小やフォントにも注意しなければならないため、文字数は多すぎない程度を意識してください。
業務マニュアルや手順書には 、業務や操作の基準も記載します。「全体の流れ」で先に示した工程や作業内容を実施する際に把握しておくべき概念・知識・ルールを簡潔に記載してください。
基準が示されていれば、作業者はその基準に沿って行動するため属人化や誤操作のリスクが防止できます。基準やルールについても、全体の流れと同じく簡潔でわかりやすく記載しましょう。
では、マニュアルの種類について紹介しましょう。
マニュアルという一言でも、その目的によって以下のように種類があり、区別されています。
業務マニュアルは、業務全体のイメージや目的、判断基準などと共に実際の作業手順について詳しく書いたものです。
目的は業務を円滑に進めて標準化を図ること。
誰がやっても同じレベルの品質を保てるようにするために作られます。
業務単位でマニュアルを作れば業務ごとに必要な社員教育ができるうえ、作業効率が大幅に改善。
さまざまなコストダウンになり業績アップにもつながります。
取扱説明書は製品やサービスの使い方、利用の仕方を理解
するために作るマニュアル。
大きな目線ではなく、特定の機器の仕様や操作方法に限定しています。
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新入社員や転職社員など、初めてその業務に携わる人を相手にした指導者用のテキストです。
業務マニュアルや取扱説明書と同じく、知識やノウハウを習得するため
にあるものとなっています。
手引書は簡単に言うと入門書のこと。
仕事をするうえでのテクニックやコツ、ノウハウなどを指南したものです。
主にコンピューター分野で使われるマニュアルで、機械装置や工具などの使用方法を解説しているもの。
テキストとイラストで視覚的にもわかりやすくなっています。
ガイドブックもマニュアルの一種ですが、図書に分類されます。
特定の主題や事柄、場所などの案内や解説が目的です。
ここからはマニュアルのなかでも特に業務マニュアルを作成することによるメリットを紹介します。
業務マニュアルを作成するメリットは、以下の5つが考えられます。
それぞれが自分のやりたいように試行錯誤していては、作業効率は悪くなるばかりです。
しかし、マニュアルがあれば業務の手順や判断基準がはっきりとわかるようになります。
これにより、やること・その方法が明確になるため、各作業における確認や指示待ちなどが回避可能です。
全体的に仕事がスムーズに進むため、企業によっては大幅な作業効率のアップができるでしょう。
業務スピードは人によって違うため、作業に大きな差が生まれてしまいます。
また役割分担がうまくいかずに、複数の人が同じことをするケースもあるでしょう。
作業に時間がかかれば残業も必要になり、その分のコスト(人件費や光熱費)がかかります。
そこでマニュアルがあれば、全体の経費や時間の削減が可能です。
属人化とは、業務を遂行できる人が限定されてしまうこと。
もし特定の業務のやり方がわかっている人が一人しかいなければ大変です。
その担当者が不在であれば、業務を進められず遅延や中断になるでしょう。
ただしマニュアルがあれば誰でも作業ができるようになるため、担当者がいなくても慌てずに済みます。
担当する人によって商品やサービスの品質が変化するのはトラブルの元です。
しかし、マニュアルによって作業手順が決まっていたり最終目標を共有できていたりすれば、誰が担当しても同じレベルのものを提供できます。
引継ぎ時にマニュアルがあれば、初めてその業務につく人でも全体像が掴みやすく作業に困りません。
特に人手が足りないときには、新人教育へ人と時間を割けないこともあるでしょう。
そんなときにマニュアルがあれば、知識の引継ぎがスムーズです。
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「社内マニュアルは必要? メリットや作成のステップを解説」
メリットがあればデメリットもあるもの。業務マニュアルを作成するデメリットとして代表的なものは、次の2つです。
大きなデメリットは、作成に多くの時間がかかること。
作業効率アップや業績アップにつなげるためには、しっかりしたマニュアルを作成しなければなりません。
ところがマニュアルを作成するためには、さまざまな工程が必要で時間を要します。
たとえば、情報収集や情報の取捨選択、全体の構成作りや文章のライティング、視認性をよくするためのデザインなどです。
あまりに時間がかかるため、マニュアル作成の本来の目的を忘れ、マニュアルを作ることが目的になってしまう場合もあります。
マニュアル作成時間を短縮するためには、WordやPowerPointなどのツールを使ったり、業務ごとに分担したりするなどをしてみてください。
マニュアルは一度作ったら終わりではありません。
実際には使わない部分や改善が必要な部分を発見したら都度削除や修正が必要となり、内容を更新するたびに再配布・公開が必要です。
頻繁に修正・確認・更新してこそ使いやすいマニュアルができます。
そのため、できるだけ簡単な管理方法を考える必要があるでしょう。
簡単に、マニュアル作成の手順を紹介します。
ここでも業務マニュアルの作成手順を例に見ていきましょう。
それぞれの詳細をみていきましょう。
何のためにマニュアルを作成するのか、その目的を明確にしましょう。
目指すべきは業務のスムーズな遂行・業効率のアップ・業績改善・従業員のモチベーションアップです。
マニュアルを読むことでどこを目指したいのかについても、記載しておくことが大切です。
作成の目的を忘れなければ一貫した文章になりやすくなります。
マニュアルに書く情報を集めましょう。
普段自分が行っている業務であれば記載内容についてあまり悩まないかもしれませんが、同じ業務に携わる方がいればその人にも話を聞いてください。
もし自分はそれほど現場を知らないという場合には、現場の人に話を聞いたり、実際に作業風景をみたりしましょう。
業務の大まかな流れ、具体的な作業手順、困ったときの対応や実際にあったトラブルへの対応など、いろいろな情報を集めます。
その後、どの情報を入れるかを考えてください。
できるだけシンプルで分りやすくするためには、不要な情報は徹底的に省くことがおすすめです。
構成とは大枠、ドキュメントの大きな流れのことです。
何をどの順番で書くかを決める作業です。
情報があちこちバラバラに散らばってしまわないように丁寧に考える必要があります。
ある程度決まったら、目次を作ることで情報の居場所を決めていきましょう。
目次があれば、読む人が必要な情報を簡単にみつけられます。
取捨選択した情報を、いよいよ書いていきます。
最初は勢いに任せて一気に書いて構いません。
読み直したときに誤字脱字をチェックし、あやふやな箇所はないかなどを確認して直していきましょう。
文章を入れ終わって誤字脱字などのチェックが終わったら、みやすいように装飾開始です。これは、マニュアルを視覚的にわかりやすくするためでもあります。
図表やチャート、イラスト、写真などを使ったり、重要な箇所には色を入れたりしてください。
できあがったマニュアルは第三者からのチェックが必要です。
情報に間違いがないか、わかりやすくできているかを確認してもらいましょう。
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「マニュアル作成の基本のフローとは?運用ルールの作成とともに解説」
より良いマニュアル作成のためには、以下に紹介する4つのコツを押さえておきましょう。
理解しやすいマニュアルは文字や文章だけではなく、見る人のことを考えて視覚的な要素も盛り込まれています。
図・表・イラスト・画像 といった要素を適度に配置して、文章だけで構成されないように視覚効果を盛り込んでください。
図表やイラストは明度や輝度が高すぎず、目に優しい色と配色を意識します。ただし、デザインにこだわりすぎて文字以外の要素をたくさん盛り込まないように注意が必要です。
見出しは、それぞれの章や段落を目立たせて内容を把握するための足がかりになる要素です。
目次としてまとめたときに、「ひと目で内容が把握できるか」「次の章や工程に繋がるか」を考え、わかりやすい書き方を意識してみてください。
本文とも共通するポイントとして、伝えたい事柄はシンプルに記載します。専門用語のような難解な表現も避けて、読み手を選ばないような表現に統一しましょう。
マニュアルは、流れるように読めるものが理想です。難解な言い回しや読みが難しい漢字を使用すると、理解を妨げるおそれがあります。
マニュアルを読む人が理解できるように、使用する用語や言い回しを意識してください。
デザインにこだわりすぎると、視認性や全体の構成がアンバランスになってしまいます。本当に伝えたい部分が伝わりづらくなる可能性もあるため、凝りすぎないように注意しましょう。
色や装飾(太字や色、マーカーなど)を使って目立たせる部分は文などの大切な部分に限定し、枠線やその他の要素に装飾を施しすぎないように意識してください。
装飾は派手にしすぎる必要はありません。「シンプルな文が伝わるか」を考慮しながら装飾の内容を選ぶと良いでしょう。
完成したマニュアルを運用する際には、4つのポイントを意識してください。
マニュアルは、必要に応じてすぐ閲覧できるように適切な場所へ保管してください。
一部の管理者しかわからない場所や、保管場所を知っている人に都度聞きに行くようなケースでは、マニュアルを参照しづらくなってしまいます。
マニュアルは一人ひとりの社員が参照するために作成するものです。行動するうえで守ってほしいルールや基準も記載されていますので、何度も読み返して手順や内容を確認することが大切です。
マニュアルが誤って削除・廃棄されたり、別の保管場所に移動されたりしないように、管理担当者を選任しておきましょう。重要性の高いマニュアルほど適切な管理者を選定してください。
システムや機器は不具合の改善や修繕を施す場合がありますが、変更に合わせてマニュアルの内容も最新版に改訂しましょう。
以下のケースについては改訂が必要です。
【改訂が必要なケース】
訂正した内容や訂正した日付も忘れずに記載します。
マニュアルを上手く作成できないときは、どのようなポイントを意識すべきなのでしょうか。3つのポイントを確認しましょう。
実際にマニュアルを利用した人から意見を聞いて、作成のポイントを把握します。
「ここがわかりやすかった」「このような内容を盛り込むべき」といったアドバイスも含めて、マニュアルの作成に活かしましょう。
マニュアルは、手順や工程をわかりやすく整理したものです。
内容が煩雑になるほどきれいにまとめる必要があるため、マニュアルに記載する関連情報をすべて集めて全体を整理してみると、記載すべき項目や内容がまとめやすくなります。
マニュアルをゼロから作成するときは様式や書き方で悩みますが、他部署も含めた社内のマニュアル作成経験者の体験が参考になります。
マニュアルを作成した経験者に相談すると、作成のポイントや困ったこと、記載すべき項目をアドバイスしてもらえます。
書式やテンプレートといった細かい要素を指示してもらえる場合もあります。
マニュアルにはさまざまな種類がありますが、いずれも、目的は読んだ人に正しい情報や手順を指導することです。
特に仕事においては、誰であっても同じようなレベルで作業を進められるようにするために必要なものです。
しっかり必要な情報が入ったマニュアルを作れば、大きなメリットが得られるでしょう。
フィンテックスはマニュアル作成を専門に行っている会社です。
自社のマニュアル作りでお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
つい読んでしまうマニュアル作成のリーディングカンパニー、株式会社フィンテックス
監修者
企画営業部 営業本部長 / 経営学修士(MBA)
<略歴>
フィンテックスにて、マニュアル作成に関する様々な顧客課題解決に従事。 金融系からエンターテインメント系まで様々な経験から幅広い業務知識を得て、「分かりやすいマニュアル」のあるべき姿を提示。500社以上のマニュアル作成に携わる。また、複数の大企業でマニュアル作成プロジェクトの外部マネージャーを兼務している。 趣味は茶道。
2024.10.29
2024.10.29
2024.10.04
2024.10.04