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マニュアル整備を任されたとき、最初に迷うのが手段の選び方ではないでしょうか。自分たちで作るか、ツールを導入するか、外部に委託するか。それぞれに得意な領域があり、どれが正解かは企業の状況によって変わります。
本記事では、マニュアル作成代行会社であるフィンテックスが、自社の宣伝に偏らない中立的な視点で3つの手段を比較します。費用と品質の両面から違いを示したうえで、5つの質問で絞り込める判断フローとしてまとめました。
目次
マニュアル作成の3つの手段とは
【比較表】費用・品質・スピード・社内負荷で見る3つの手段
自作(内製)が向くケースと限界
AIツール・SaaSが向くケースと限界
マニュアル作成代行が向くケースと限界
5つの質問で決める判断フロー
1つに絞らない併用という選び方
よくある質問(FAQ)
フィンテックスの立場
まとめ
自作とは、WordやPowerPointなどの汎用ソフトを使い、社内の担当者がマニュアルを書く方法です。外部への支出は発生しません。ただし、担当者が作業に充てる時間は、会社にとって人件費というコストにあたります。この点を見落とすと、費用の比較を誤ります。
3つのなかで最初に検討されることが多い方法ですが、実際には途中で止まる例も少なくありません。始めやすさと、完成までたどり着けるかどうかは別の問題だと捉えておきましょう。
AIツール・SaaSとは、マニュアルの作成や共有を支援するツール・サービスを契約して使う方法です。社内wikiやナレッジ共有を兼ねる汎用型と、マニュアル作成に特化した専用型に大きく分かれます。備えている機能は、テンプレート、画面キャプチャの取り込み、AIによる下書きの生成、Web上での共有と更新管理などです。これらによって、社内での作成作業を効率化します。
料金は月額の課金型が中心で、費用や機能はサービスによって幅があります。最新の料金と機能は、各サービスの公式情報をご確認ください。
マニュアル作成代行とは、マニュアル作成の専門会社に、企画・取材・執筆・編集を委託する方法です。社内の作業負荷を抑えながら、専門会社の品質で仕上げられます。取材で引き出した内容が文書として残るため、属人化していた知識を整理する機会にもなります。
検討の場でよく問われるのは、費用・品質・スピード・社内負荷の4点です。この4つの軸で3つの手段を並べると、次のようになります。
| 比較の軸 | 手段1:自作(内製) | 手段2:AIツール・SaaS | 手段3:マニュアル作成代行 |
|---|---|---|---|
| 費用 | 外部への支出は発生しない。ただし担当者の作業時間が人件費として積み上がり、長期化するほど膨らむ | 利用料が毎月発生し、使い続けるかぎり止まらない。多くの汎用型は、読む人の数だけ費用が増える。専用型は人数に縛られない料金の製品もあるが、初期費用が必要な場合がある | 依頼時にまとまった費用が発生する。一方で完成後の利用料はかからず、社内の作業時間も抑えられる |
| 品質 | 担当者の力量による。業務知識は正確だが、構成と表現は自己流になりがち | テンプレートの使用で体裁は安定する。内容の質は書き手による | 構成の設計、表現、読者目線までを作成代行会社が担保する |
| スピード | 通常業務の合間に取り組むため、長期化しやすい | 下書きの生成は速い。完成までの期間は、社内での仕上げ作業の量による | 依頼から完成までは数週間から数か月程度。AIを併用する形では初稿の提示が早い |
| 社内負荷 | もっとも重い(執筆と編集をすべて担当する) | 中程度(ツールの操作を覚える手間に加え、執筆と仕上げを担当する) | もっとも軽い(ヒアリングへの対応と内容の確認が中心) |
費用の目安は次のとおりです。
AIツール・SaaSは、価格帯が2つに分かれます。社内wikiやナレッジ共有を兼ねる汎用型は、1ユーザーあたり月額数百円からです。マニュアル作成に特化した専用型は、月額数万円から数十万円程度で、初期費用が別途必要な製品もあります。
マニュアル作成代行は、フィンテックスの場合、原稿の作成をすべて人が担う形が100万円からです(50ページ程度)。AIを併用する形は30万円からとなります。いずれも税別であり、規模や内容、依頼先によって変動する点にご留意ください。
外部への支出の有無だけを見ると、自作がもっとも安く見えます。しかし、3つの手段は費用の発生の仕方が異なるため、支出額だけを並べても比較になりません。初期費用と継続費用に分けて見る必要があります。
自作は、外部への支出こそありませんが、担当者の作業時間がそのまま人件費になります。何十時間もかかったうえに完成まで至らなければ、支出がなくても損失です。
ツールは、汎用型であれば少額から始められます。ただし、多くの汎用型はマニュアルを読む人の単位で月額の費用がかかります。利用者が増えるごとに費用が積み増しされる点に留意してください。マニュアルは、書く人よりも読む人のほうが多い文書です。全社へ配るのであれば、想定より人数がふくらみやすくなります。
利用者が多い場合は、専用型のほうが安く収まることもあります。閲覧する人数に縛られない料金体系の製品もあるためです。一方で、初期費用や月額の費用が高くなる場合もあります。自社の利用者数と、使い続ける期間を見積もったうえで選ぶ必要があるでしょう。
なお、どちらの型でも利用料は毎月発生し続けます。作成が一段落した後も、閲覧や更新のために契約を続けるなら、費用は積み上がる一方です。
マニュアル作成代行で目立つのは、依頼時の費用です。一方で、完成後の利用料は発生せず、社内の作業時間も最小限で済みます。
どの手段が安いかは、作る本数、更新の頻度、そして何年使うかによって判断が変わります。1本だけ作って長く使うのか、毎月何本も作り続けるのかで、答えは変わると考えてください。
自作の強みは2つあります。業務をもっともよく知る人が書けることと、変更があった際にすぐ直せることです。次のようなケースでは、自作が合理的な選択になります。
一方で、自作には構造的な弱点があります。書き手が業務に詳しいため、当たり前だと思っている前提を省いてしまい、新任者には分かりづらいマニュアルになりがちです。また、部署ごとに書式や表記がばらつくと、全社的なマニュアル品質は不安定になります。
何より、通常業務との掛け持ちではマニュアル整備業務は後回しになります。作りかけのまま1年が過ぎる、という事態が起こりやすいのが実情です。
担当者の時間を確保できるかどうかは、内製における最大の関門と言えるでしょう。人手不足は、中小企業庁が公表する中小企業白書でも継続的に取り上げられているテーマです。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2040年の生産年齢人口は約6,213万人まで減少する見通しとされています(令和5年推計)。これは複数の仮定にもとづく推計であり、確定した数値ではありません。
※参照:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」/中小企業庁「中小企業白書」
自作を選んだ場合でも、いくつかの工夫で弱点は補えます。
まず、書式と表記のルールを1枚にまとめ、書き始める前に共有します。見出しの付け方、用語の統一、図の入れ方といった最低限の項目で構いません。部署ごとのばらつきは、この1枚があるだけで大きく減らせます。
次に、書いた本人以外に読んでもらう工程を必ず設けましょう。とくに、その業務の未経験者に読んでもらうと、省かれた前提が見つかります。読んでもらう相手が社内にいない場合は、業務を知らない他部署の方に頼むだけでも効果があるでしょう。
最後に、完成の期日を業務の予定として押さえます。空いた時間で書く進め方では、作成が後回しになりがちです。
ツールの強みは、作成だけでなく、共有と更新までを含めた仕組みが手に入ることです。次のようなケースで力を発揮します。
AIによる下書きの生成機能を備えたツールも増えており、たたき台づくりにかかる時間は短縮できるようになりました。
ツールが提供するのは、マニュアルを作成・保管するための環境と、作成を助ける機能です。何をどう書くかまでは解決してくれません。目次の設計、業務の棚卸し、経験者しか知らない知識の聞き取り、読者に合わせた表現の調整は、引き続き人の仕事として残ります。
AIによる生成機能を使う場合は、誤りや自社ルールとのずれを確認する工程も必要です。作成が一段落したあとの利用計画も含めて検討しましょう。
ツールが自社に合うかどうかは、無料プランや試用期間で確かめるのが確実です。その際は、いま実際に行っている作成と承認の流れに、そのツールを当てはめられるかを確認しましょう。既存の流れを大きく変えないと使えないツールは、導入後に運用が止まりがちです。
数多くのツールから選ぶ際は、次の3点を確認すると比較しやすくなります。
1つ目は、出力できる形式です。社内で配布する形式や、印刷の要否によって、必要な機能が変わります。Web上での閲覧だけを想定しているツールもあるためです。
2つ目は、権限の設定です。編集・閲覧の権限を、部署や役職ごとに設定できるかを確認しましょう。人事や経理の文書を扱う場合は、この設定が必須になります。
3つ目は、解約したあとのデータの扱いです。作成したマニュアルを、契約終了後にどの形式で持ち出せるかを事前に確認しておきましょう。持ち出せない場合、そのツールを使い続けるしかなくなります。
なお、AIによる生成機能を使う場合の確認の観点は、次の記事で20項目に整理しています。
関連記事:
AIで作ったマニュアルの品質チェックリスト20項目|プロが解説
関連記事:
マニュアル作成のおすすめツール10選!選び方も解説
社内マニュアル作成に使える無料ツールを選び方とともに紹介
マニュアル作成代行の強みは、品質の担保と社内負荷の軽さです。次のようなケースでは、費用に見合う効果が得られるでしょう。
マニュアル作成代行にも弱点があります。まず、依頼時にかかる外部への支出は3つのなかでもっとも大きく、小規模な手順書だけであれば過剰な投資になる可能性があります。また、ヒアリングや内容確認のやり取りには一定の社内対応が必要です。丸投げで完成するわけではありません。作成のノウハウが社内に残りにくい点も、長期的には考慮すべきでしょう。
委託先を選ぶ際は、実績と品質管理の体制、そして機密情報の取り扱いを確認します。個人データの取り扱いを含む業務を委託する場合、委託元には委託先を監督する責任が生じます。秘密保持契約の締結だけでなく、保管方法やアクセス権限の管理体制も確認しておきましょう。なお、本記事の記載は一般的な情報であり、法的助言ではありません。
マニュアル作成代行に委託する場合でも、社内での準備が成果を左右します。準備が整っているほど、取材の回数と期間を抑えられるためです。
用意しておきたいのは、対象となる業務の一覧、既存の資料、そして取材に対応できる担当者です。既存の資料は古くても構いません。断片的なメモや過去の研修資料でも、業務の全体像をつかむ手がかりになります。
あわせて、社内での原稿確認の担当者とスケジュールも決めておきましょう。原稿の確認が滞ると、その分だけ納期が後ろへずれていきます。この部分は作成代行会社側では巻き取れないため、着手前の合意が大切です。
関連記事:
マニュアル作成の外部委託ってどう?内製との違いを徹底解説
マニュアル作成を外注する際の費用相場を徹底解説
自社に合う手段は、次の5つの質問に順に答えると絞り込めます。「はい」と答えた時点で、候補となる手段が決まります。「いいえ」の場合は次の質問へ進んでください。
質問5までたどり着いた場合、社内で作るための条件はそろっています。最後の質問では、ツールを使うか、WordやPowerPointで自作するかを選びます。
実際の企業では、1つの手段に絞らない使い分けが増えています。よく見られるのは次の3つです。
併用を検討する場合は、まず対象となるマニュアルを2つの軸で仕分けます。誤りが許されない度合いと、本数や更新の頻度です。
誤りが許されない業務は、マニュアル作成代行や専門家の確認によって品質を確保します。本数が多く更新が頻繁な業務に向くのは、ツールを使った作成と共有の効率化です。この仕分けの結果は、そのまま前章の判断フローに当てはめられます。
自社の業務をこの2軸で並べてみると、すべてに同じ手段を使う必要がないことが見えてくるはずです。
なお、併用を始める際は、一度にすべてを切り替えないほうが無難でしょう。まず1つの業務で試し、進め方が固まってから範囲を広げます。とくにマニュアル作成代行とツールを組み合わせる場合、完成した原稿をツールへ移す作業が発生します。この移行の手間は事前に見積もっておきましょう。
A:手段を選ぶ前に、どの業務の、誰向けの、何のためのマニュアルかを1枚に整理することをおすすめします。対象が明確になると、必要な品質と本数が見えてきます。そのうえで本記事の判断フローに当てはめると、絞り込みがスムーズです。
A:役割が異なるため、置き換えの関係ではありません。ツールは作成と管理の効率化に優れています。一方で、業務の棚卸し、経験者しか知らない知識の言語化、読者に合わせた構成の設計は、人の仕事として残ります。判断の手順としては、まず対象のマニュアルを一覧にし、効率化したい業務と品質を確保したい業務に分けてください。そのうえで、前者にツール、後者にマニュアル作成代行を割り当てると、無理のない組み合わせになります。
A:費用はページ数だけで決まらないためです。工数を左右するのは、対象業務の複雑さ、取材の量、図解の密度です。同じ50ページでも、既存の資料がそろっている案件と、ゼロから取材する案件とでは、作業量が大きく違います。複数社から見積もりを取り、内訳を比較することをおすすめします。
A:すべてを一度に整備しようとせず、事故や損失につながりやすい業務から優先順位を付けましょう。優先度の高い1・2本に絞って品質を確保し、残りは無料のツールや自作で段階的に進める方法が現実的です。
A:可能です。実際、自作で始めたものの進まず、マニュアル作成代行へ切り替える例は少なくありません。切り替える際は、それまでに作った資料をすべて渡してください。書きかけの原稿、業務のメモ、画面のキャプチャなども、取材の時間を短縮する材料になります。逆に、マニュアル作成代行で作ったマニュアルを社内での更新に移す場合もあるでしょう。その際は、編集できる形式のファイルと書式のルールを一緒に受け取っておきます。
A:仕分けの次に決めておきたいのが、書式のルールと更新の窓口をどちらに寄せるかです。マニュアル作成代行で作った1本目の書式を全社の基準にすると、あとからツールで作るマニュアルの見た目・品質もそろえられます。更新の受付窓口も1か所にまとめてください。マニュアルごとに窓口が分かれると、現場はどこへ連絡すべきか分からなくなります。
フィンテックスは1987年の創業以来、マニュアル作成代行会社として500社以上のマニュアル整備を支援してきました。その経験から申し上げると、すべての企業にマニュアル作成代行が最適だとは考えていません。ご相談の際、ツールや内製のほうが合うと判断した場合は、その旨を率直にお伝えしています。
フィンテックスのマニュアル作成代行サービスは、AIを使うかどうかをお客様に選んでいただける2本立てです。
どちらを選ぶかは、お客様の情報の取り扱い方針と、優先したいことにもとづいて決めていただけます。たとえば、社内方針としてAIの利用を認められるか、納期と費用をどこまで抑えたいか、といった観点です。
なお、いずれの場合も、お客様の情報は秘密保持契約(NDA)と社内管理体制のもとで取り扱います。お客様のデータをAIの学習に利用することはありません。
自作・AIツール・マニュアル作成代行には、それぞれ得意な領域があります。判断の軸は、業務のリスク、作成と更新の本数、社内の人員と期日の3つです。
ひとつに絞る必要はありません。誤りが許されないマニュアルには品質を確保する手段を、本数が多く更新が頻繁なマニュアルには作成と共有を効率化する仕組みを割り当てます。この使い分けが、費用に対する効果をもっとも高めます。
まずは、自社のマニュアルの対象業務を書き出し、本記事の5つの質問に当てはめることから始めてみましょう。1本目で進め方が固まれば、2本目以降の判断は速くなります。
なお、手段を選んで作り終えたあとには、そのマニュアルが現場で実際に使われるかどうかという課題が待っています。どの手段を選んだ場合でも、配布して終わりにしない工夫は欠かせません。
関連記事:
AIで作ったマニュアルが使われない5つの理由と直し方
フィンテックスでは、手段選びの段階からのご相談も受け付けています。迷われている方は、お気軽にご相談ください。
マニュアルコンサルティング
業務マニュアル
内製コンサルティング
現場作業の徹底的な取材を行い、一部のみフィンテックスでマニュアル作成、それ以外は構成・ひな形のみ担当し、残作業はお客様の内製化で対応。チームごとにバラバラだった作業手順が見直され、かつ担当メンバーに業務改善意識が根付いたことで大きな業務改革が実現できました。
操作マニュアル
マニュアル作成・公開・更新までを一括で行えるCMSの選定とカスタマイズに対応。
煩雑になっていたオンラインマニュアルの管理を新CMSに統合するとともに、マニュアル内容も刷新することで、マニュアル関連業務の効率化とCS向上を実現しました。
監修者

企画営業部 営業本部長 / 経営学修士(MBA)
<略歴>
フィンテックスにて、マニュアル作成に関する様々な顧客課題解決に従事。
金融系からエンターテインメント系まで様々な経験から幅広い業務知識を得て、「分かりやすいマニュアル」のあるべき姿を提示。500社以上のマニュアル作成に携わる。また、複数の大企業でマニュアル作成プロジェクトの外部マネージャーを兼務している。
趣味は茶道。
月刊エコノミスト・ビジネスクロニクルで取材していただきました。ぜひご覧ください。
https://business-chronicle.com/person/fintecs.php
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