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「その人がいないと、仕事が止まる」——書籍『マニュアルが会社を救う 属人化からの解放』を出版しました

Announcement of New Book Release

ある建設会社で、給与が振り込めなくなりかけたことがあります。

原因は、システムの障害でも、資金繰りでもありません。給与計算をひとりで担ってきた担当者が、急病で突然出社できなくなった。ただそれだけです。

今回は、フィンテックスが2026年7月に出版した書籍『マニュアルが会社を救う 属人化からの解放』について、その中身と、この本に込めた考えをご紹介します。

給与計算を知っているのが、社内にひとりだけだった

その企業は、数百名規模の社員を抱える会社でした。
しかし、給与計算の全工程を理解している人は、担当者以外に誰もいません。使っているシステムの全体像すら、他の誰も把握していませんでした。

ログイン情報は資料に残っていました。けれども、毎月の処理の流れ、手当の計算ロジック、社会保険料の控除方法はどこにも載っていません。あるのは担当者の記憶と、本人にしか読み解けないメモだけです。

建設業の給与計算は複雑です。現場ごとに異なる危険手当、資格に応じた加算、天候で日数が変わる日給月給。担当者はそれらを、独自に組んだExcelのマクロで処理していました。

銀行に振込データを送る期限まで、残された時間は48時間。
総務部のスタッフがファイルを開いても、数式をひとつ直すたびに別の箇所が狂います。この手当は課税対象なのか。この端数は切り捨てか切り上げか。判断の根拠がどこにも記録されておらず、誰も答えを出せませんでした。

このあと会社がどう動いたかは、書籍の第3章に記しました。ただ、ひとつだけ先に申し上げておきたいことがあります。これは、美談ではありません。

「うちは大丈夫」と言い切れる会社は、実は多くありません

この話を、特殊な会社の失敗として読まないでいただきたいのです。

本書の著者は、当メディアの監修も務める中丸貴仁です。マニュアル作成代行の営業兼コンサルタントとして、これまで500社を超える企業の現場に立ってきました。

製造、飲食、IT、医療、建設、金融。業界を問わず共通していたのは、業務が「秘伝のタレ」のように扱われている、という現実です。

前任者から口頭で引き継いだだけの慣習。Aさんだけが知っている手順。Bさんしか触れないシステム。そして「背中を見て覚えろ」という暗黙知。一見、それで仕事は回っているように見えます。

しかし実際には、個人の能力と善意、そして長時間労働によって、たまたま今日という一日を事故なく終えただけ、という状態です。

大切なのは、属人化は個人の問題ではなく、仕組みの問題だという視点です。誰かがサボっていたわけでも、情報を隠していたわけでもありません。言語化する仕組みがなかった。それだけのことです。

関連記事:
属人化とは?その原因と対策のポイントを、業務マニュアル作成のプロが解説

本書が答えている3つの問い

本書は、属人化が静かに組織を蝕む構造と、そこから抜け出す具体的な方法をまとめた一冊です。全6章を通して、次の3つの問いに答えています。

どこから手をつければいいのか

すべての業務を一度にマニュアル化しようとする試みは、まず失敗します。範囲が広すぎると現場が疲弊し、プロジェクトそのものが崩れてしまうからです。

では、最初の一歩をどこに置くか。本書では、業務を頻度と重要度で整理したうえで、セオリーとは異なる着手順序を提案しています。現場の心が動く順番から始める、という考え方です。

関連記事:
マニュアル作成は何から始める?優先順位のつけ方を4象限で解説

マニュアルは本当にペイするのか

経営層にとっては、投資対効果が最大の関心事です。
第4章では、教育コスト・品質安定・失敗の共有・事業拡張など、6つの効果を数字で検証しています。

たとえば、新人ひとりを育てるために社内で実際に消えている金額を、機会損失まで含めて計算してみる。その数字を見たとき、多くの経営者が投資の順番を考え直します。

どうすれば形骸化せずに続くのか

作ったマニュアルが半年後に誰にも読まれなくなる。この現象には、はっきりした原因があります。

第6章では、組織の状態を5段階で診断する「脱・属人化ステージモデル」を紹介しています。自社が今どの段階にいて、次に何をすれば上がれるのか。その地図を持つことが、定着への近道になります。

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マニュアルは、人を縛る規則ではありません

本書の第3章には、5つの組織の実話を収めました。
給与担当の急病で凍りついた建設会社。合併で2つの文化が衝突したIT企業。新人が半年で3割辞めていた老舗百貨店。いずれも、実際に現場で起きたことです。

現場で見てきたのは、数字やグラフだけでは語りきれない人間のドラマでした。

自分にしかできない仕事の重圧に押し潰されそうになっていたエース社員。
正解がわからず、先輩の顔色を窺っていた若手。
社員を信じていると公言しながら、実は仕組みのない混沌に彼らを放り込んでいたと気づいた経営者。

マニュアルは、人を縛る規則ではありません。仲間を守る資産です。そう思えたとき、組織は変わり始めます。

書籍情報

項目内容
書名マニュアルが会社を救う 属人化からの解放
著者中丸 貴仁(株式会社フィンテックス)
発売日2026年7月14日
価格1,320円(税込)
ページ数200ページ
判型ペーパーバック
ISBN-13979-8268610321

書籍はAmazonでご購入いただけます。
『マニュアルが会社を救う 属人化からの解放』試し読み・購入はこちら

「その人がいないと回らない」という不安を、ひとつ減らすところから始めてみましょう。
本書が、その最初の一歩を後押しできればうれしく思います。

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