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近年、業務の一部を外部に委託する動きが広がりつつあります。なかでもBPO(Business Process Outsourcing)は、コスト削減や業務効率化にとどまらず、企業の成長や変革を支える手段として注目されています。
本記事では、BPOの基本知識から導入メリット、進めるときに押さえたいポイント、そして近年のトレンドまで、わかりやすくまとめました。
BPOをうまく活用して業務の効率化や組織力の強化を目指したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
BPOとは何か?その基本を押さえよう
BPOを導入するメリットとは?
BPOの導入時に押さえるべきポイント
BPOの最新トレンドと今後の展望
まとめ
BPOという言葉を耳にする機会が増えてきましたが、意味や対象業務について正しく理解している方は意外と少ないかもしれません。ここでは、BPOの基本的な考え方や、どのような業務が対象となるのか、そして普及が進んできた背景について解説します。
BPOとは、企業の業務プロセス全体、または一部を外部の専門業者に委託することを指します。もともとは欧米の大手企業が業務の一部を海外へ委託したことから広がった考え方で、現在では業種・業界を問わず幅広く導入されています。
たとえば、経理や人事、カスタマーサポートなど、定型的で専門性のある業務を社外に委託することで、自社のコストを軽減し、限られたリソースを戦略的な業務に集中させることができます。このように、BPOはコスト削減だけでなく、業務効率向上や競争力向上にもつながる手段として注目されています。
BPOの対象となる業務は、主に「定型的でルール化できる業務」が中心です。標準化やマニュアル化がしやすい業務は、外部委託先でも対応しやすいことから、BPOの対象としてよく選ばれます。代表的なものとして、以下のような業務があります。
いずれの業務も、BPOとして委託する業務範囲を明確にし、契約書やマニュアルなどで明記しておくことが重要です。
BPOが広く導入されるようになってきたのには、どのような理由があるのでしょうか。
まず、企業の「コスト削減」への強いニーズがあったことが挙げられます。リーマンショックやコロナショックを経て、企業はより効率的な組織運営を求めるようになり、外部資源の活用が注目されるようになりました。
次に、人手不足の問題も大きな要因です。特に中小企業や地方企業では、専門スキルを持った人材の確保が難しく、外部委託によって安定的な業務運営を目指す動きが広がっています。
さらに、IT技術の進化もBPOの普及を促進させたといえます。クラウドやリモートアクセスの活用により、物理的な距離に関係なく業務の委託が可能となり、全国どこでもスムーズなBPOが実現しやすくなったのです。
BPOの活用はコスト削減の手段として広く知られていますが、実際にはそれ以上に多くのメリットがあります。ここでは、BPOを導入することで得られる効果について、主な3つの観点からご紹介します。導入を検討されている方にとって、判断材料となるポイントを整理してみましょう。
社内で抱えている業務の一部を外部に委託することで、日々の業務負担を軽減し、業務の効率化を図ることができます。また、自社で人材を雇用する場合には、採用・教育・給与・福利厚生など多くのコスト、特に固定費が発生しますが、BPOを活用すればこうした固定費を変動費化でき、コスト構造の柔軟性が高まる点も大きなメリットです。
BPOは、リソースを「自社にしかできない業務」に集中させる体制を構築するのにも役立ちます。たとえば、問い合わせ対応やデータ入力などの定型業務をアウトソースすることで、社員は、利益に直結するようなコア業務(サービスの企画や顧客との関係構築、新しい事業展開など)に時間と人材を投じることが可能になります。
外部に任せられる業務を明確に分離し、必要な部分だけを適切に委託することで、定型業務とコア業務のバランスが整い、結果として、組織全体のパフォーマンス向上につながっていきます。
BPOを提供する企業は、特定業務に関して高い専門性と豊富な経験を持っています。そのため、自社で対応するよりも短期間で安定した成果を出せる場合があります。特に法令順守やミスの許されない分野では、専門的な知識を持つ外部の力を活用することが安心につながります。
また、業務の標準化や改善提案といった付加価値が得られることもあります。外部の目線が入ることで、今まで気づかなかった改善ポイントに気づけるケースも少なくありません。
BPOは非常に便利な手段ですが、導入の準備や進め方を誤ると、思ったような効果が得られないこともあります。ここでは、BPOを導入する際に確認しておきたいポイントについてご紹介します。事前準備を丁寧に行うことが、成功への近道です。
BPOを始めるにあたって、まず行うべきことは「自社業務の見える化」です。どの業務を委託するのか、「社内でしかできない業務は何か」を明確に切り分けておく必要があります。
そのためには、業務内容を棚卸しして、担当者ごとの作業や作業時間、使用しているツールなど、業務における基本情報を整理しておくことが重要です。業務マニュアルを整備すれば、これらの基本情報をBPO委託先に共有しやすくなります。また、マニュアル内で業務の流れを見える化しておけば、委託範囲を明示しやすくなるのでおすすめです。
BPOの成果を左右するのが、委託先企業の選定です。コスト面だけで判断するのではなく、実績や専門性、セキュリティ体制、対応スピードなども含めて総合的に評価しましょう。
また、実際の運用が始まったあとも、柔軟に対応してくれるかどうか、トラブル時のサポート体制が整っているかどうかも重要なチェックポイントです。契約前には、具体的な対応範囲や品質基準について十分にすり合わせておくことをおすすめします。
BPOは「任せきり」にするのではなく、委託後の連携も含めて運用設計を行うことが重要です。進捗の確認や報告のタイミング、課題が生じたときの連絡手段など、日常的なコミュニケーション手法を事前に決めておくと安心です。
特に複数部門が関わる場合や、委託業務が拡大していくケースでは、BPO社員の役割を明確にした上で、定例ミーティングや共有ドキュメントを活用するとよいでしょう。お互いにスムーズな連携が取れる体制を構築することが、BPOを継続的に成功させる鍵になります。
BPOは単なる業務委託の手段にとどまらず、近年では企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)や業務改革と連動した戦略的な取り組みとしても注目されています。ここでは、現在のBPOを取り巻くトレンドと、これからの展開について見ていきましょう。
従来のBPOでは、人が手作業で行う業務を外部委託するのが一般的でしたが、近年ではRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI(人工知能)を活用した「デジタルBPO」が広がりを見せています。
たとえば、定型的なデータ入力や請求書処理などは、RPAによって自動化できるため、BPO事業者が人とテクノロジーを組み合わせて対応するケースが増えています。これにより、さらに短い時間でミスの少ない処理が可能となり、ユーザー企業にとっても安定した品質とコストメリットを享受しやすくなっています。
また、チャットボットや音声認識AIを活用したカスタマーサポートの自動対応なども、今後さらに普及が進むと見られています。
以前はBPOといえば、製造業などがコストの安い海外に工場を置いて、生産コスト削減を狙うというものが主流でした。しかし現在では、さまざまな業務で国内外のBPO企業への業務委託が広まっています。国内BPOと海外BPOのメリットを把握し、自社の業務に適したBPOを検討しましょう。
国内BPO
海外BPOに比べて、言語や時差を気にせずコミュニケーションがとれるので、品質や進捗の管理がしやすくなります。国内企業の経理事務や労務管理などは、法令や制度・文化に対する理解度の観点から、国内BPOが向いているといえます。
海外BPO
国内BPOに比べて、人件費のコストが大きく削減できるのがメリットです。人員の確保が必要な大規模開発や、海外展開している事業のコールセンター対応などは、海外BPOが向いているといえます。
BPOは、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)と非常に親和性の高い施策です。DXとは、デジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを変革することを指します。これを進めるにはまず既存業務の可視化や標準化が不可欠ですが、人材確保にコストがかかるのがネックです。DX推進の事前準備としてBPOを活用すれば、外部の専門家の知識やノウハウを取り入れて、既存業務の整理・効率化を低コストで促進できます。結果として、社内リソースが少ない企業がDX推進による新たなビジネスモデルの構築を目指すことも可能になります。
今後は、「業務を任せるだけのBPO」ではなく、「業務改善やDXのパートナーとしてのBPO」のあり方が重視されていくと考えられます。
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、単に業務の一部を外部に委託する手段ではなく、業務の効率化・コスト削減・品質向上・DX推進の土台づくりといった、企業経営に多くのメリットをもたらす有効な選択肢です。
BPO導入をスムーズにするためには、業務の可視化やマニュアル整備などをしっかりと行い、委託範囲や目的を明確にしておくことが重要です。また、BPO企業によって得意分野が異なるので、自社のニーズにマッチした企業を選択することが重要です。
BPOの有効活用で業務上の課題を解決し、企業成長に役立てていきましょう。
つい読んでしまうマニュアル作成のリーディングカンパニー、株式会社フィンテックス
監修者
企画営業部 営業本部長 / 経営学修士(MBA)
<略歴>
フィンテックスにて、マニュアル作成に関する様々な顧客課題解決に従事。
金融系からエンターテインメント系まで様々な経験から幅広い業務知識を得て、「分かりやすいマニュアル」のあるべき姿を提示。500社以上のマニュアル作成に携わる。また、複数の大企業でマニュアル作成プロジェクトの外部マネージャーを兼務している。
趣味は茶道。
月刊エコノミスト・ビジネスクロニクルで取材していただきました。ぜひご覧ください。
https://business-chronicle.com/person/fintecs.php
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