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あの人がいないと仕事が回らない…そんな状況に心当たりはありませんか?多くの企業で、長年の経験に裏打ちされた「ノウハウ」が特定の個人に紐付いたままになっています。
しかし、退職や異動は突然訪れます。個人の頭の中にしかないノウハウは、その人が去ると同時に消失する「負債」になりかねません。
本記事では、属人化したノウハウを「会社の資産」へと変え、人が入れ替わっても揺るがない、強い組織を作るためのステップを解説します。
目次
ビジネスにおける「ノウハウ」とは?
「属人化したノウハウ」が引き起こす致命的な経営リスク
ノウハウを「会社の資産」として定着させるための3ステップ
まとめ
私たちが日常的に使っている「ノウハウ」という言葉ですが、ビジネスの現場においては単なる「知識」以上の重みを持っています。はじめに、ノウハウの定義とビジネスにおける意味、なぜ企業にとってノウハウが重要なのかを確認しておきましょう。
ノウハウとは、英語の「know-how」からきた言葉で、物事を進める際の知識や経験のことをいいます。
ビジネスにおいては、ある目的を達成するために必要な知識と、経験を積むことによって生まれた実用的で具体的な手法や手順を指します。
たとえば、新しい機械の操作方法を知っているだけでは、それは単なる知識に過ぎません。しかし、その機械を使って作業をした結果、「いかに効率よく、不良品を出さずに製品を作るか」という工夫や手順を確立できれば、それは価値あるノウハウとなります。
つまり、過去の経験や失敗から導き出された成功のための法則こそが、ビジネスにおけるノウハウの正体です。ノウハウを学ぶことで、経験の浅い人でも一定の成果を出せるようになり、組織全体の底上げにつながります。
「知識」とは、学習や経験によって手に入れた情報を理解し、活用できる状態にしたものです。一方で「スキル」とは、学習や訓練を通して獲得してきた「個人の技能」を指します。
知識やスキルが個人に依存するものであるのに対して、「ノウハウ」は適切な形で言語化されることで、他者へと受け継ぐことが可能な共有財産となります。この違いを意識することが、属人化解消への第一歩となります。
企業においてノウハウとは、個人が獲得した知識や手順を「組織として再現可能な状態」にし、さらには個々のスキルを向上させる資本であると言い換えることができるでしょう。
企業が持つノウハウは、競合他社との差別化を図るための源泉であり、法律でも保護されている重要な知的財産です。独自の顧客対応術や効率的な生産プロセスなどは、一朝一夕に真似できるものではありません。こうした独自のノウハウが蓄積されているからこそ、企業は市場での優位性を保つことができます。
もしもこれらの情報が外部に流出したり、担当者の退職とともに失われたりすれば、それは大きな経済的損失を意味します。
ノウハウを適切に管理し、組織全体で活用できる状態にすることは、将来の利益を生み出し続けるための投資であり、まさに「資産」を積み上げていることにほかなりません。
特定の社員しか知らない業務が存在する状態を「属人化」「ブラックボックス化」と呼びますが、これは企業にとって極めて危うい状態です。一見すると、専門性の高いプロフェッショナルが現場を支えているように見えますが、その裏には多くのリスクが潜んでいます。
ここでは、ノウハウが特定の個人に集中してしまうことで発生する、具体的な経営上の問題点について掘り下げていきます。
ベテラン社員の「暗黙知」に頼った業務運用は、属人化を招きやすい代表的なパターンです。特に「背中を見て覚えろ」という文化が根強い職場では、ベテラン社員のノウハウが明文化されていないため、後任者は同じレベルで業務を遂行することが困難になります。
再現性のない技術は、ベテラン社員が在籍している間しか機能しません。ノウハウが暗黙知として埋もれ続けることは、組織の継続性を脅かす要因となります。
特定の担当者以外に内容がわからない「ブラックボックス化」した業務は、不正やミスの温床になりやすいという側面があります。周囲のチェックが働かない環境では、本来守るべきルールが形骸化していても誰も気づくことができません。悪意がなくとも、「独自の判断で行っていた処理が、実は法令や社内規定に抵触していた」という事態も起こり得ます。
透明性の低い業務プロセスを放置すると、企業のリスク管理リテラシーが低いとみなされ、ひとたび問題が発生すれば社会的な信用の失墜へとつながる恐れがあります。
また、ルールが明文化されていないと、担当者ごとに対応方法や品質が異なり、再現性が失われます。マニュアルやチェックリストなどの体系的な資料整備がされていない業務は、属人化が進みやすい傾向にあります。
ノウハウが社内で共有されていない組織では、新しい人材を育成するためのコストが膨大になり、提供するサービスの品質も安定しません。
マニュアルなどの資料がなく、教える人によって手順やコツが異なると、教わる側は混乱し、一人前になるまでに余計な時間がかかってしまいます。このような状況では、組織を拡大しようとしても教育が追いつかず、成長の足かせとなってしまいます。
誰もが同じように高い水準で仕事ができる環境を整えることが、経営の安定には不可欠です。
属人化したノウハウを会社の共有資産へと昇華させるためには、戦略的なアプローチが必要です。ただ「みなさんのノウハウを資料にまとめて共有してください」と指示を出すだけでは、現場は動きません。まず言語化の適切なプロセスを踏み、現場の協力のもとで進めることが成功の鍵となります。
ここからは、具体的にどのような手順でノウハウを抽出し、組織に定着させていくべきか、3つのステップに分けて解説します。
最初のステップは、個人の頭の中にある「暗黙知」を言葉や図として外に出し、目に見える「形式知」に変える「可視化」の作業です。
ベテラン社員は、自分が行っている高度な判断や工夫を「当たり前のこと」として無意識に処理しているときがあります。そのため、単に「手順を書いてください」と依頼するだけでは、単なる手順書になってしまいます。形式化したいはずのノウハウが抜け落ちてしまうのです。
また、社内でヒアリングを行う場合、聞き手側もある程度の知識があるため、ベテランが判断するタイミングやその理由を聞き逃す可能性があります。ノウハウを形式知にするために必要なのは、新人の目線に合わせた粒度のヒアリングです。第三者が客観的な視点でヒアリングを行い、ノウハウを余すことなく抽出することが重要です。
抽出された情報を整理し、誰が読んでも同じように実行できる形に整える「標準化」を行います。まずは可視化した業務をもとにして、手順や判断基準を統一するルールを整備します。これにより、誰が担当しても同じ手順・品質で対応できる体制が整います。
ここで作成されるのがマニュアルです。優れたマニュアルとは、単なる作業手順書ではありません。その作業の目的、判断基準、さらにはよくあるトラブルへの対処法までが網羅されており、経験の浅い社員にとってはまさに「最良のガイドブック」といえます。
マニュアルは、ユーザーの習熟レベルに合わせた記載にすることが重要です。専門用語を避けたり、図解や動画でポイントを押さえたりといった工夫で、経験の浅い新人でも理解しやすいマニュアルになります。こうして標準化された手順が浸透すれば、組織全体の業務品質は一定のレベルで安定するようになります。
標準化は時間がかかりますが、組織力の底上げにつながる重要なプロセスです。
せっかく作ったマニュアルも、棚の奥で眠っていては意味がありません。必要なときにいつでも取り出せる共有の仕組みと、内容を最新に保つ運用が不可欠です。
用途や運用方法に応じて、自社に適したツールを選んで作成・運用しましょう。
作成、メンテナンスのしやすさを考慮すると、多くの企業に導入されているWordやPowerPoint、Googleスライドなどを活用する方法をおすすめします。
使い慣れたツールでマニュアルを作成し、それをPDF化して社内の共有フォルダなどで配布すれば、シンプルな操作でマニュアルの閲覧、メンテナンス作業ができます。また、マニュアルのボリュームに左右されず、ローコストでスタートできます。
マニュアルの専用ツールや社内wikiなどのクラウドツール、AIツールを活用すると、情報の検索性が高まり、さらに場所を問わずアクセスできるようになります。しかし、高機能なツールは便利ですが、使いこなすためのリテラシーが求められます。
また、ランニングコストが壁になることもあります。一般的に、A4サイズのマニュアル文書が1000ページを超えるボリュームの場合、ツール導入の費用対効果が期待できると言われています。
マニュアルにおいて大事なことは、見た目の美しさではなく、中身が常に最新であることです。ビジネス環境の変化とともにノウハウも進化するため、定期的なメンテナンスは欠かせません。
本記事では、ビジネスにおけるノウハウの重要性と、それが属人化することによるリスク、そして組織の資産に変えていくための具体的なステップを解説しました。
個人の優れたノウハウをいかに組織全体の力に変えていくかが、これからの時代の企業経営には求められています。ノウハウが適切に共有されている職場では、社員それぞれのスキルが向上し、それによってさらなる改善のアイデアが生まれるという好循環が生まれます。
フィンテックスは、企業が抱える「ノウハウのブラックボックス化」に対して、業務の棚卸やマニュアル整備を通じて課題解決のサポートをいたします。ノウハウの見える化・共有に課題をお持ちの場合は、フィンテックスへお気軽にご相談ください。
監修者

企画営業部 営業本部長 / 経営学修士(MBA)
<略歴>
フィンテックスにて、マニュアル作成に関する様々な顧客課題解決に従事。
金融系からエンターテインメント系まで様々な経験から幅広い業務知識を得て、「分かりやすいマニュアル」のあるべき姿を提示。500社以上のマニュアル作成に携わる。また、複数の大企業でマニュアル作成プロジェクトの外部マネージャーを兼務している。
趣味は茶道。
月刊エコノミスト・ビジネスクロニクルで取材していただきました。ぜひご覧ください。
https://business-chronicle.com/person/fintecs.php
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