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技能実習制度が廃止され、新たに始まる「育成就労制度」をご存知ですか。外国人材を単なる労働力ではなく、育てて長く働いてもらうことに重点を置いた制度です。初めての外国人雇用で採用担当者が押さえるべき準備、言葉・文化の壁を越えるための教育方法の工夫について解説します。
目次
育成就労制度とは?知っておきたい変化のポイント
採用成功への近道!監理支援機関選びとコストの考え方
言葉の壁を乗り越える教育の工夫
「またここで働きたい」と思わせる!離職を防ぐ環境づくり
不安を解消!受け入れ後のトラブルを防ぐリスク管理
まとめ
「育成就労制度」という名前は聞いたことがあっても、従来の技能実習制度から何が変わるのか知らない方も多いのではないでしょうか。育成就労制度は、企業と働く人の双方が共に成長し、長く歩んでいける仕組みを目指しています。まずは、制度の目的やスケジュールといった基本的な部分から解説します。
育成就労制度の大きな特徴は、これまでの国際貢献という建前をなくし、日本の労働力不足を補うための人材育成を目的としている点です。ここでは、特に押さえておくべき3つの変更点について解説します。
制度の目的が「労働力の確保」にシフトしたことで、企業側もより計画的な育成が求められるようになります。
人手不足に悩む現場にとって、若い意欲的な人材を確保できるのは大きなメリットです。育成就労制度を通じて採用された方は、早い段階から日本の仕事や会社の文化に触れてもらうことで、数年後には現場のリーダー候補としての活躍も見込めます。また、国がサポート体制を強化しているため、初めての採用でもルールを守って適切に運用することで、会社のイメージアップにもつながります。
すべての仕事で採用できるわけではなく、特定技能という資格につながる分野が中心となります。現在は、特定技能制度で受け入れ実績がある19分野を軸に、新しい対象職種が段階的に制定される見込みです。
受け入れ企業の育成・支援体制等の要件については、技能実習制度のものを引き継ぎながら、新たな要件も設定されています。
まずは最新の情報をチェックすることをおすすめします。
参照先:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」
育成就労制度は2027年4月よりスタートする予定で、いよいよ本格始動が目前に迫っています。募集から入社までにだいたい半年から1年くらいの時間がかかるため、制度開始を見据え、早めに採用体制を見直しておくことが大切です。
外国人採用をスムーズに進めるためには、自社だけで頑張るのではなく、信頼できるパートナーを見つけることが成功の鍵となります。また、初期費用と月々のコストをあらかじめ把握しておくことで、無理のない計画が立てられます。
初めての採用では、手続きや生活サポートを代行してくれる監理支援機関(技能実習制度における監理団体に相当)の選び方が非常に重要です。機関の選定には、以下の項目を確認してみてください。
これらのポイントを確認することで、採用後のトラブルを防ぐことができます。
採用にかかる費用は、大きく分けて入国までの初期費用と、入国後の月々の費用の2つがあります。ざっくりとした目安を知っておきましょう。
募集をかけてから実際に働き始めるまでには、だいたい半年から1年くらいの時間がかかります。面接後、書類を揃えて国の審査を待ち、入国してから約1ヶ月の講習を受けるという流れがあるためです。会社側がこの待ち時間を「ただ待つだけ」にするのはもったいないです。
たとえばSNSで職場の動画を送ったり、メッセージのやり取りをしたりして、入国前からつながりを持っておくことで、本人の不安を和らげることができます。
採用した後の最大の悩みは、やはりコミュニケーションです。言葉が通じないことで教育に時間がかかり、現場が疲弊してしまうのは避けたいものです。
そこで重要になるのが、言葉に頼らず、誰にでもわかる形で技術を指導する工夫です。
現場でつい使ってしまう「あうんの呼吸」や専門用語は、外国の方には伝わりません。
たとえば、「注意する」といった表現は、日本語が十分にわからない方にとって、具体的な行動に結びつきにくい場合があります。そこで、「やさしい日本語」を意識して使用するようにしましょう。これは、文法・言葉のレベルや文章の長さに配慮し、わかりやすくした日本語のことです。
業務説明用の資料を準備する際も、やさしい日本語を使用して具体的な行動を短い文章で表現することを心がけましょう。さらに、文章の代わりに写真やイラストを活用することで、理解するスピードを上げることができます。
情報を整理してシンプルに伝えるだけで、教える側も教わる側もずっと楽になります。
言葉や文字で説明しにくい操作手順やカン・コツは、撮影した動画を真似してもらう形で理解を促進できます。動画マニュアルの最大のメリットは、教える人によって内容がバラつかず、複雑な操作・動きを伴う作業について、いつでも同じ品質で教育ができることです。
また、動画マニュアルを視聴することで事前・事後の自己学習を進めてもらえるため、教育担当者の負荷が軽減されます。動画による視覚的な教育が、理解を助ける手段として効果的です。
動画マニュアルは、テレビ番組のような立派なものである必要はありません。むしろ、普段使っているスマートフォンで実際の作業をそのまま撮るだけのほうが、現場ではわかりやすいものです。
たとえば、掃除の手順や機械のボタンを押す順番など、1分程度の短い動画を用意します。動画があれば、言葉を尽くして説明するよりも早く理解ができると喜ばれます。
せっかく作ったマニュアルは、すぐ活用できる場所になければ意味がありません。マニュアルのリンクをQRコードにし、実際の作業場所に掲示する方法がおすすめです。わからないことがあったときに、その場ですぐにスマホで確認できれば、先輩の手を止めて質問する必要がなくなります。
自分一人で解決できることが増えれば、外国人スタッフの自信にもつながり、自発的なスキルアップを促すことができます。
新制度では転籍ができるようになるため、採用担当者が一番心配なのは「せっかく育てたのに辞めてしまうのではないか」ということでしょう。しかし、ちょっとした工夫で「この会社が一番居心地がよい」と感じてもらうことは十分に可能です。
転籍ができるということは、良い会社であれば、さらに優秀な人材が集まってくるチャンスでもあります。「どこへでも行けるけれど、ここが好きだから残る」と言ってもらえる関係性を築くことが大切です。社長や人事担当者が、一人ひとりの成長をしっかり見守り、応援していることを伝え続けてください。大切にされていると感じているスタッフは、そう簡単にほかの会社へは移りません。
慣れない異国の地で働くのは、想像以上に心細いものです。仕事の面だけでなく、日常のちょっとした困りごとに耳を傾けてあげてください。たとえば、近所のおいしいお店を教えたり、日本の文化を一緒に楽しんだりする機会を作ることがよい刺激になります。
また、母国の家族の話を聞いてあげるといった、一歩踏み込んだコミュニケーションが、深い信頼関係につながります。
「3年経ったら終わり」ではなく、その先にどんな未来があるかを示しましょう。育成就労から特定技能へとステップアップし、将来はリーダーとして活躍してほしい、といった具体的な期待を伝えることが大切です。
試験に合格したら給料が上がる仕組みや、家族を日本に呼んだりするための道のりなどを一緒に考えるといった将来設計のサポートが、日本で働き続ける明確な目標になります。
初めての外国人雇用では、文化の違いや生活習慣のズレからトラブルが起きることもあります。あらかじめ起こりそうな問題を想定し、対策を立てておきましょう。
ゴミの出し方や夜間の騒音、交通のルールなど、日本の生活ルールを最初にしっかりと教えることが大切です。地域の住民の方々と良好な関係を築くことは、会社・本人にとってもプラスになります。監理支援機関の生活指導員と一緒に、日本の生活の「当たり前」を根気よく伝えましょう。最初の手間を惜しまないことが、後々の大きなトラブルを防ぐことにつながります。
本人と会社の間に、第三者の相談窓口を作っておくこともリスク回避になります。仕事の悩みだけでなく、人間関係や将来の不安を一人で抱え込ませないようにしましょう。監理支援機関の担当者と定期的に情報共有をし、本人の表情や様子に変化がないか気をつけて見てあげてください。小さな不満を早めに解消できる体制があれば、突然いなくなってしまうような失踪トラブルも防ぐことができます。
育成就労制度は、単に人手不足を解消するだけのものではなく、会社の仕組みや教育体制を新しくアップデートするきっかけを与えてくれます。
外国人スタッフを受け入れる準備を進めるなかで、新人の教育手法・ツールを整備したり、コミュニケーションを工夫したりすることは、日本人の社員にとっても働きやすい環境を作ることにつながります。
フィンテックスでは、工場・建設・製造・物流現場などのマニュアル作成をはじめ、外国語マニュアルや、外国の方でも理解しやすいイラスト・動画を活用したマニュアル作成も行っています。それらをご検討の際はぜひフィンテックスへお気軽にご相談ください。
監修者

企画営業部 営業本部長 / 経営学修士(MBA)
<略歴>
フィンテックスにて、マニュアル作成に関する様々な顧客課題解決に従事。
金融系からエンターテインメント系まで様々な経験から幅広い業務知識を得て、「分かりやすいマニュアル」のあるべき姿を提示。500社以上のマニュアル作成に携わる。また、複数の大企業でマニュアル作成プロジェクトの外部マネージャーを兼務している。
趣味は茶道。
月刊エコノミスト・ビジネスクロニクルで取材していただきました。ぜひご覧ください。
https://business-chronicle.com/person/fintecs.php
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