マニュアルアカデミー
資料作成や経理作業、データ入力など、事務業務は多岐にわたるので、新入社員への指導方法にお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
「どのような手順で教育すればよいのか」という問題は、事務マニュアルを作成すれば解決できるかもしれません。
本記事では、事務マニュアルの概要や、マニュアル作成時の手順などを紹介します。
教育の質を高め、業務を効率化させたいとお考えのご担当者様は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
事務マニュアルとは
事務マニュアルの作成において対象となる業務
事務マニュアルを作成するメリット
【ステップ別】事務マニュアルを作成する手順
事務マニュアルの作成時に押さえておきたいポイント
わかりやすい事務マニュアルを作成するためにも作り方を押さえておこう
事務業務のやり方や、作業の手順をまとめたマニュアルを「事務マニュアル」あるいは「事務用マニュアル」といいます。
企業ごとに内容やボリュームは異なるので「このようなマニュアルを作成すればよい」という答えは存在しません。
作業上の判断基準や、業務を効率よく進めるためのポイント、教育のカリキュラムなどを記載することもあります。
事務マニュアルの作成は、法令などで義務化されているわけではありません。
そのうえ、作成には時間や工数もかかるため、あえて「マニュアルを作成しない」という選択をする企業も少なくないようです。
しかし、新入社員が業務を習得する速度や、教育担当者の教え方はそれぞれ異なるので、マニュアルを作成せずに教育研修を実施すると、教育内容や研修時間にムラが生じます。
その結果、「教育に時間がかかり、戦力化が遅くなった」「新入社員に合わせて教育のやり方を変えたら、レベルに違いが生じた」といった問題につながることも起こりえます。
また、教育の進め方がずさんだと、新入社員が教育担当者や会社自体に不信感を抱き、場合によっては離職にまで繋がってしまうかもしれません。
このような事態を未然に防ぐためにも、可能であれば事務マニュアルは作成したほうがよいでしょう。
取引先とのやり取りがメインの業務や、社内の情報共有が重視される業務など、事務業務の内容はさまざまです。
そのため、「どの事務業務のマニュアルを作成すればよいのだろう」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
厚生労働省が運営する、職業情報提供サイト(日本版O-NET)の「job tag」では、一般事務の業務内容に以下のような例を挙げています。
一般事務の業務内容
上記は、多くの会社の事務職が対応する基本的な業務です。
どの分野のマニュアルを作成すればよいのかがわからない場合は、まずはこれらを参考にしてみてください。
参照元: 職業情報提供サイト(日本版O-NET) job tag「一般事務」
事務職の業務を細分化すると「営業事務職」「経理事務」「人事労務事務」「法務事務」「貿易事務」の5つに分けられます。
事務職の特性と業務内容を種類別にまとめたので、マニュアル作成時には、以下に該当する業務を重点的に作成してみてください。
【種類別】事務職の業務内容
種類 | 特性 | 業務内容 |
営業事務職 | 営業部・取引先との関係性が強い 臨機応変な対応力やコミュニケーション能力が求められる | 請求書・見積書・納品書の作成、電話応対、接客応対など |
経理事務 | 多部署との関わりがある 正確さが求められる | 残高計算、伝票整理、経費計算・処理、給与計算など |
人事労務事務 | 従業員個人との関わりが深い モラルの高さやコミュニケーション能力が求められる | 入社・退社手続き、勤怠チェック、データ入力、保険手続き、社員番号登録など |
法務事務 | 正確さや責任感の強さが求められる | 契約書の作成、労災・会社登録、その他事務業務など |
貿易事務 | 業務スピードが求められる | 書類作成・管理、輸送の手配、倉庫の手配・管理など |
ここからは、事務マニュアルを作成によって得られるメリットを紹介します。
事務マニュアルを作成して、教育の手順や内容を明確化すれば、教育にかかる時間を短縮できます。
「次に何を教えればよいのかがわからない」「この項目は何分くらいかけて教育すればよいのだろう」と悩む必要もなくなるので、効率よく研修を進められるようになります。
教育担当者と新入社員の双方が、時間的コストを削減できる点は大きなメリットです。
業務のやり方がわからない、もしくはスムーズに進行できない場合など、そのたびに周囲の社員に質問していると、お互いに工数がかかってしまいます。
しかし、事務マニュアルに作業の手順を載せておければ、見返すだけで解決策を確認できます。
トラブルシューティングの項目を設ける、視認性を高めるために図解を載せるなどの工夫で、より高い効果が期待できるでしょう。
また、事務マニュアルを作成する工程で、業務における無駄な部分、つまり改善点を発見できることもあります。
たとえば、「ダブルチェックで十分な作業なのに、トリプルチェックが入っている」「複数人が同作業を繰り返している」といった無駄な業務の発見などです。
部署の責任者に「この作業をなくしたほうが効率よく動ける」「この業務を対応している人は、こちらの業務をやらせたほうがよい」と伝えれば、業務改善にもつなげられるでしょう。
業務の属人化を防止できる点も、事務マニュアルを作成するメリットの1つです。
仕事の責任が特定の社員に集中すると属人化が蔓延し、ナレッジやノウハウが共有されないなどのケースに陥りがちです。
そのような事態が生じると、部署の風通しが悪くなり、業務効率が低下します。
しかし、事務マニュアルを作成して、以前までは特定の担当者しか知りえなかった情報や、業務の進め方などを共有すれば、属人化を防止できます。
また、不透明だった業務内容を可視化し、誰もが対応できるような体制にしておくと、従業員が目的意識を持てるようになり、業務のモチベーションの向上が期待できます。
事務マニュアルの役割や、作成するメリットなどは理解できたものの、具体的にどのような手順で作成すればよいのかがわからない方もいらっしゃるかもしれません。
ここからは、事務マニュアルを作成する手順を、ステップ別に紹介します。
事務マニュアルを作成する際は、まずは骨子を作成して、大まかな枠組みを決めておきます。
業務内容や流れなどを書き出して、指針を明確にすれば、マニュアル作りをスムーズに進められるようになります。
マニュアルの骨子に肉付けをして、構成と目次を作成します。
目次から先に作るやり方もありますが、可能であれば構成を先に作成してください。
そのほうが、マニュアル全体の流れに一貫性を持たせられるようになります。
構成の作成時は「業務工程名」「作業名」「作業の手順」などを書き出すとよいです。
たとえば、事務案件の1つに「クライアントに共有する資料を、Wordを使って作成する」という業務があるとします。
この場合、業務工程名には「資料作成関連」、作業名には「クライアントへ共有する資料作成」、作業の手順には、ファイルの格納場所や資料作成のフォーマットなどを記載します。
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「マニュアルの出来は構成で決まる? 押さえておきたいポイントを解説」
作成した構成をもとに、マニュアルの本文を記載します。
マニュアルの対象読者は新入社員、もしくは業務の知識がない社員がほとんどなので、シンプルでわかりやすい表現を心がけましょう。
もし、専門用語を使用するのであれば注釈を入れる、わかりにくい部分があれば、図解を使用して視認性を高めるなどの工夫を取り入れてみてください。
業務フローの抜け漏れや誤字脱字がないかを、最終チェックします。
ただし、マニュアル作成の担当者だけではフラットな視点を持てず、問題に気付けないこともあります。
そのような事態を避けるためにも、他部署の社員や後任の担当者など、作業との接点がないメンバーにもマニュアルを共有して、意見を求めてみてもよいでしょう。
そのうえで、「この部分がわかりにくい」「ここは画像付きのほうがよい」というフィードバックがあればマニュアルを修正し、品質を高めていきます。
事務マニュアルの完成度を高めたいとお考えの方は、以下のポイントを押さえてみてください。
品質の高いマニュアルは、読み手の目線に立って書かれています。
専門用語や長文などは極力避け、誰がみても瞬時に内容を理解できるような文章を作成します。
たとえば、「請求書の作り方」というマニュアルに「担当社員からアサインされたら共有ファイルからテンプレを落とす」と記載されていたらどうでしょうか。
社会人経験がない新入社員や、専門用語を理解できていない既存社員であれば、書いてある内容がスムーズに理解できず、混乱してしまうかもしれません。
「担当社員から連絡があったら、共有ファイルが格納されているフォルダを開きます。そして、テンプレートをダウンロードします」と表記するだけでも、視認性は大きく向上します。
また、共有ファイルのパスをリンク設定しておけば、ファイルの取り違えもおきず、確実性も増します。
「どうすれば、読者がスムーズに理解できるのか」を意識して、シンプルかつわかりやすいマニュアルを作成すれば、対象読者の早期戦力化を図れるでしょう。
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「わかりやすいマニュアルとはどんなもの?作り方やポイントを紹介」
マニュアルの作成時は、現場に直接赴いたうえで業務の様子を確認します。
書面の情報だけではわからない業務フローや、それぞれの社員がどのような業務を対応しているのをヒアリングできれば、認識の齟齬を減らせます。
また、現場の情報を確認しながらマニュアルを作成・共有し、現場の社員からフィードバックを受けられたら、事務マニュアルの精度の向上にも役立つでしょう。
いかがでしたでしょうか。
事務マニュアルを作成して、教育の手順や内容を明確化すれば、教育にかかる時間的コストを抑えられます。
作成の工程で無駄な業務を発見できる可能性もあるので、業務の改善や生産性の向上にも効果が期待できます。
また、事務マニュアルは、読み手の目線に立って作成するのが理想的です。
専門用語や長文などは極力避け、誰がみてもわかるような、シンプルかつわかりやすい文章を作成するように心がけましょう。
フィンテックスでは、事務業務をはじめとしたマニュアル作成の相談を承っております。
「どのようなマニュアルを作ればよいのかがわからない」とお悩みのご担当者様は、お気軽にお問い合わせください。
つい読んでしまうマニュアル作成のリーディングカンパニー、株式会社フィンテックス
監修者
企画営業部 営業本部長 / 経営学修士(MBA)
<略歴>
フィンテックスにて、マニュアル作成に関する様々な顧客課題解決に従事。 金融系からエンターテインメント系まで様々な経験から幅広い業務知識を得て、「分かりやすいマニュアル」のあるべき姿を提示。500社以上のマニュアル作成に携わる。また、複数の大企業でマニュアル作成プロジェクトの外部マネージャーを兼務している。 趣味は茶道。
2024.10.04
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