マニュアルアカデミー
わかりやすいマニュアルがあると、新人教育や引き継ぎがスムーズに進み、業務の効率化ならびに生産性の向上にもつながります。
それでは、どのような部分を工夫すれば、よりよいマニュアルを作成できるのでしょうか?
そこで今回は、わかりやすいマニュアルの概要や、作り方のポイントを紹介します。
自社のマニュアルの質を高め、業務の標準化や組織力の強化を目指している方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
わかりやすいマニュアルとは
わかりにくいマニュアルの特徴
わかりやすいマニュアルを作るためのポイント
わかりやすいマニュアルを作るためのレイアウトの工夫
わかりやすいマニュアルを作るためのテキストの工夫
わかりやすいマニュアルを作成して業務の効率化を図ろう
マニュアルには業務を明確化し、記載した知識やノウハウを標準化するという役割があります。
閲覧者が理解できるように、業務内容やルール、作業の手順や注意点などが記載されていると「わかりやすいマニュアル」になります。
従業員が同じレベルの業務を遂行することにつながるうえに、新人教育や引き継ぎにかかる時間も減らせるので、わかりやすいマニュアルを作成したいところです。
マニュアルをただ作るだけでは、「わかりにくいマニュアル」になるおそれがあります。
せっかく完成しても活用されなければ、作成にかけた時間が無駄になってしまいます。
わかりにくいマニュアルでは、閲覧者が目的の情報をなかなか探し出せず、業務が滞ってしまうかもしれません。
ここからは、わかりにくいマニュアルの特徴を紹介するので、新規のマニュアル作成時や、既存のマニュアルを改善する際の参考にしてみてください。
マニュアルの目的が明確になっていないと、わかりにくい仕上がりになってしまいます。
本来、マニュアルには「特定の業務・作業の内容や手順を説明する」という目的があります。
しかし、本来の目的を失うと、1つのマニュアルに情報を詰めこみすぎてしまい、煩雑になってしまうかもしれません。
追記する内容が多すぎると、何を伝えたいのかがわかりにくくなるうえに、閲覧者が業務の不明点を調べる際に、該当の箇所を探しづらくなるでしょう。
マニュアルの目的を明確にしておけば、煩雑なマニュアルになることを防げます。
テキストのみのマニュアルは、可読性が悪くなってしまいます。
特に、作業マニュアルは、テキストだけではなく図表や写真などが掲載されていなければ、閲覧者が作業のイメージをつかみづらいでしょう。
図表や写真などをうまく活用して、作業を視覚化することで、閲覧者のより正確な理解を促せます。
ただし、図表や写真が挿入されているだけでは、閲覧者が要点を押さえづらくなるので、重要なポイントはテキストで補足してください。
わかりにくいマニュアルでは、重要なポイントがあまり伝わりません。
マニュアルには、業務における重要なポイントや注意点など、特に伝えたい内容が含まれています。
ポイントを目立たせるには、太字や赤文字、ハイライトなどの文字装飾を活用します。
しかし、文字装飾を施しすぎると、どれが重要なのかがわかりづらくなってしまうので、多用は避けなければなりません。
文字装飾に明確なルールはありませんが、強調に使う色は2~3色までなど、マニュアル作成前に決めておきましょう。
ここからは、わかりやすいマニュアルを作るために意識したい、6つのポイントを紹介するので、参考にしてみてください。
わかりやすいマニュアルを作るには、作業の手順の目的や理由を明確に記載します。
「なぜかはわからないけど、マニュアルに書いてあるので実施する」という状況では、従業員が作業の要所を押さえられず、業務の標準化や効率化にはつながらないからです。
たとえば、新入社員に向けた、クレーム電話対応マニュアルを作成するとしましょう。
以下の表に、クレーム電話の対応マニュアルの例をまとめました。
クレーム電話の対応マニュアルの例
よい例 | 悪い例 |
クレーム対応の注意点 ・話を最後まで聞くこと →お客様は不満を抱いているので、話を遮ることで気分を害すおそれがあります。 お客様の不満の解消を念頭に置いて、傾聴しましょう。 ・間を空けずに素早く対応すること たとえば、「そんなことがあったのですね……私がお客様の立場でもそれは怒ると思います。本当に申し訳ございません。」など、相手に共感する姿勢を見せると心証がよくなります。 |
クレーム対応時の注意点 ・話を最後まで聞くこと ・間を空けず素早く対応すること |
「この作業にはどのような目的があるのか」また「なぜこの対応を行う必要があるのか」を記載すると、閲覧者に理解してもらいやすくなります。
作成時に読みやすいような工夫を凝らすと、目的に沿ったわかりやすいマニュアルを作れます。
読みづらいマニュアルは、内容に対しての理解が難しく、読解により時間がかかります。
途中で読むのをやめてしまったり、認識に齟齬が生じたりするリスクがあるので、閲覧者が理解できるような内容にするのが肝要です。
具体的には、図や写真を活用して視認性を高めることや、文字装飾を施して重要なポイントを認識してもらうことなどが挙げられます。
作業の一連の動作やスピード感など、言葉では伝えづらい内容は、動画を用いるのも効果的な方法です。
また、マニュアルに目次をつけると、どこに何が書いてあるのかがひと目でわかるので、実用性を高められます。
さらにわかりやすいマニュアルを作るには、図を活用しましょう。
作業の手順や因果関係などを伝える際は、テキストだけではなく、文章を図式化します。
たとえば「Aという業務にはBとCの作業があり、Bの情報をCで使用する」という内容をマニュアルに記載するとします。
テキストだけだとイメージしづらい内容でも、下記のように図式化されているとどうでしょうか。
テキストを図式化すると、AとB、Cの関係性がわかりやすくなるので、作業の全体像もつかみやすくなります。
次に取り組むべき作業もスムーズに判断できるので、業務の効率化にもつながります。
わかりやすいマニュアルを作るには、閲覧者に合わせた表現や専門用語を使いましょう。
マニュアルの作成者は、業務に対して十分な知識を持っていますが、閲覧者はそこまでの知見がないことが想定されます。
たとえば、新入社員向けのマニュアルに専門用語が多用されていると、新入社員はわからない用語を都度調べなければなりません。
そのぶん読むのに時間がかかるので、知識が定着しづらくなる懸念があります。
今後、専門用語を利用して仕事に活用してもらいたいという意図の場合は、専門用語が自然と学べるような工夫も必要です。
また「しっかりとする」「完璧に行う」といった受け取り方に個人差がある表現は、業務の判断基準を不明瞭にさせるので、できるだけ数値を用いた基準など、誰もが等しく判断できるような表現を使うようにしてください。
わかりやすいマニュアルの作成には、トラブルの事例や注意点を記載するのも重要です。
よいマニュアルが用意されていても、業務上のミスや失敗は発生してしまいます。
過去の事例をマニュアルにまとめておくと、トラブル発生時の対応に役立つこともあるでしょう。
また、作業時の注意点も記載しておくと、同じミスを未然に防ぎやすくなります。
マニュアルの作成時には「5W1H」を意識すると、内容をよりわかりやすく簡潔にまとめられます。
5W1Hは、ビジネスシーンの基本的な考え方で「Who(誰が)When(いつ)Where(どこで)What(何を)Why(なぜ)How(どのように)」の頭文字をとった略語です。
マニュアルを作る際にも、5W1Hを意識すれば、わかりやすいマニュアルに仕上げられます。
実際に作成する際には、以下のように各業務に当てはめていきます。
マニュアルの作成時に意識する5W1Hの例
マニュアルの内容を閲覧者に伝えやすくするには、5W1Hを意識して業務の流れを整理してみてください。
マニュアルの質を高めるには、定期的な見直しや更新が必要です。
運用方法などに変更があったにもかかわらず、マニュアルが更新されないままだと、現場の混乱を招きかねません。
定期的に見直しを実施し、マニュアルを最新の情報に更新すると、質の高いマニュアルを作れます。
また、マニュアルの作成時および更新時には、現場の様子を確認し、マニュアルの内容に対してフィードバックをもらうと、より一層精度を高められます。
レイアウトを工夫すると、マニュアルの視認性を高められます。
作成時には以下の工夫を施して、わかりやすいマニュアルを作ってみてください。
わかりやすいマニュアルを作るためのレイアウトの工夫
はじめに、マニュアルの目的に沿った、テンプレートやフォーマットを選びましょう。
たとえば、危険物の取り扱いに関するマニュアルの作成時には、チェックリストを入れると、安全かどうかをダブルチェックできます。
読みやすいマニュアルを作るには、Fの法則も意識したいところです。
Fの法則とは横書きの文章を読む際に「人の目線が左上から右上、少し下に移動して左から右、下へと“F”を描くように動く」法則のことです。
この視線の動きに合わせて情報を配置すると、文章量が多くても自然と読みやすいマニュアルとなるので、マニュアルの活用が見込めます。
また、余白を意図的に作ることで、視覚的にわかりやすいマニュアルに仕上げられます。
一通り書き終えたら、文字の間隔や図などが詰まりすぎていないかを確認してみてください。
テキストは、マニュアルの理解度に直結します。
フォントが統一されていないと、内容がよくても読みづらいマニュアルになってしまいます。
使用するフォントは読みやすい種類を選び、作成時には「ゴシック体のみを使うこと」といったルールを決めておきましょう。
また、マニュアルは「大見出し>中見出し>小見出し>内容」の順で階層化しておきます。
各階層の見出しは、大きさを変えたり、段落を下げたりすることで区別できます。
いかがでしたでしょうか?
閲覧者が理解できるように、業務内容やルール、作業の手順や注意点などが記載されていると、わかりやすいマニュアルになります。
わかりやすいマニュアルを作るには、図や画像を活用して視認性を高めることや、文字装飾を施すなどの工夫を凝らしましょう。
閲覧者に合わせた表現を用いたり、専門用語の多用は控えたりするのも重要です。
フィンテックスでは、新規のマニュアル作成や、既存のマニュアルの見直しなどの相談を承っております。 マニュアルの質を高め、業務の効率化や生産性の向上を目指している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
つい読んでしまうマニュアル作成のリーディングカンパニー、株式会社フィンテックス
監修者
企画営業部 営業本部長 / 経営学修士(MBA)
<略歴>
フィンテックスにて、マニュアル作成に関する様々な顧客課題解決に従事。 金融系からエンターテインメント系まで様々な経験から幅広い業務知識を得て、「分かりやすいマニュアル」のあるべき姿を提示。500社以上のマニュアル作成に携わる。また、複数の大企業でマニュアル作成プロジェクトの外部マネージャーを兼務している。 趣味は茶道。
2024.10.04
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